日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年7月6日会議では発言者の真意を確認しよう!

会議では意見が対立したり食い違ったりすることがしばしばあります。

そうした状況になるとなかなか出口が見えず、時間ばかりかかるけどたいした結論は出なかったという結末になることも少なくありません。

こうしたことにならないためには、どうすればいいのか。

今回は、このことについてお話します。



 

例えば、営業部の会議でこのようなやり取りがあったとします。

Aさん:昨年の緊急事態宣言以降、注文がない20社に状況をお伺いする電話を入れてはどうでしょうか?

Bさん:その20社のほとんどは売上が上がらず開店休業状態だから、電話を入れても注文にはつながらないよ。

Aさん:では、1社ずつ訪問してはどうでしょうか?

Bさん:だから注文がないのは、品物が売れていないからなんだよ。訪問しても仕方ないよ。

Cさん:Bさんの言うとおりだと思うよ。電話や訪問で注文が取れるなら今までにやっているよ。

 

これを読んで、どう思われましたか?

BさんもCさんもAさんの電話を入れよう、訪問しよう、という提案に反対しています。

しかし、Aさんの発言の裏には次のような気持ちがあったとしたらどうでしょうか?

「20社がコロナ感染収束後に仕入れを再開したときに我が社に注文がくるように、今のうちにできることはやっておくべきだ。」

電話や訪問といった手段はともかく、Aさんの考えていること=発言の真意には、Bさん、Cさんも司賛同するでしょう。

そして、その目的に沿った、より有効な策を一緒に考えたでしょう。

しかし、BさんもCさんも、このAさんの真意を確認しようとせず、電話や訪問に反対するばかりです。

 

このような会議になった原因は、BさんもCさんも電話や訪問という手段がよいかどうかに焦点を当てて考えていたからです。

人は、こうすればいい、という手段を考えるのがとても好きです。

実際、Aさんも、こういうことをしてはどうか、という手段の話しかしていません。

また、BさんやCさんも、その手段がよいか悪いかという反応しか示していません。

このように、人はついつい手段に意識を向けてしまうのです。

 

では、どうすればいいのでしょうか?

そのキーワードは、「何のため」や「なぜ」です。

上の例なら、Aさんが電話を入れよう、訪問しよう、と言った時、BさんかCさんのどちらかがAさんの真意を推測して、

「つまり、Aさんは仕入れ再開後、うちから仕入れてもらえるように今から動こう、ということが言いたいんだね」

と言えれば、この会議は建設的なものになったことでしょう。

Aさんの真意が推測できなくても、

「Aさんは、なぜ電話を入れようと思うの?」

「その訪問は何のためにするの?」

と確認すれば、同じような効果が得られたでしょう。

 

会議において、発言者の真意をつかむ、というのは、会議を効率的・効果的なものにする上で、非常に大切なことです。

この役割は、ぜひ議長や司会者に担っていただきたいものです。

他の参加者は議題について考えたり意見を言ったりすることに集中しがちで、他の参加者の真意に思いを巡らすことは難しいです。

一方、議長や司会者は、本来会議を効率的・効果的に運営するために、議論をコントロールする立場にあります。

従って、発言者の真意を考えやすいので、ぜひ留意いただきたいと思います。

 

発言者の真意を確認できれば、感情的な議論になることもありませんし、参加者が納得できる結論にたどり着く確率も高まります。

ぜひ意識してみてください。
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